応挙の幽霊

時間がたつて場面がおもいだされる

男が演じていると思いつつ、だんだん違和感が無くなり
女よりおんならしい指先の動き、止めた形が美しい。
女と思えば、幽霊。
幽霊と思えば、実は絵から抜け出した幻
幻なのに酒を飲み、古道具屋に絵の代金を分けろと迫り
様々な手を繰り出すが、更に伏して静かな間の後
動きの無い場面に奇妙な声が聞こえてきた
人にあらざる   聞いたことの無い声

はつとしてゾッとする

ああこの者は本当は絵の幻にして幽霊であつた
笑わされつつ、存分に翻弄される愉しさつたらない

初演がいつかわからないが昔の人も   さぞ面白がっただろう